ヤニス、ランドル、ラメロ、モラント、レナードと大型移籍が相次いで発生し、史上最忙ともいえる今オフはこれで終わることはありませんでした。続いて動いたのはケスラーとジェイレン・ブラウン。2つともちょっとびっくりのトレードだったので見ていきましょう。
LAL獲得
ウォーカー・ケスラー
UTA獲得
31,33年1巡目指名権
28,30年の1巡目スワップ権
ジャズから見たらこのオファーを断る理由がないでしょう。昨シーズンにJJJを獲得し、ドラフトでブーザーを指名。どんなローテーションで回すのかは謎ですが、フロントコートが渋滞気味のところでケスラーに巨額のオファーが来たら、マッチするか、ただで出ていかれるしかない状況だったので、1巡目2枚に1巡目スワップ2枚なら大勝利。
これでゴベア獲得で得た指名権が合計で1巡目6枚にスワップ権が3枚。ゴベア、すごいな。
一方ずっと狙っていると言われていたレイカーズはS&Tでケスラーを獲得。4年130Mという巨額の契約も結びました。制限付きFAだったケスラーなので普通にこの金額を提示すればよかったのですが、まぁトレードになったということはジャズがマッチする可能性が高かったのか、交渉を引き延ばされるのが嫌だったのか。
そこで大量の1巡目指名権を出しての獲得になったわけですが、昨シーズンのケスラーは5試合の出場に留まっており、その前の24-25シーズンも58試合出場。年々稼働率が落ちていて、故障歴的にもスタッツ的にもここまでの高額契約が必要だったのかは疑問です。
ウォーカー・ケスラー キャリア通算
201試合出場 平均25.3分 9.5点 9.3リバウンド
FG 68.1% 3P 26.6% 2.4ブロック
いやー。年平均30Mを超える選手のスタッツには見えません。
比較として2020年12月に5年205Mで契約延長したゴベアの19-20のスタッツがこちら
19-20シーズンのゴベア
68試合出場 平均34.2分 15.1点 13.5リバウンド
FG 69.3% 2.0ブロック
3Pは全く打たないゴベアなので省きましたが、このスタッツで年平均40Mを貰ったゴベア。ゴベアでもめちゃくちゃ高いと思いますが、試合には堅実に出てくれるし、DPOY2度の実績を考えれば理解できなくはありません。
一方のケスラーに関しては故障歴もあり、実績的にもゴベアほどの数字は残していません。しかしながら伸びしろ的にはゴベアより多く見えます。とくに3Pも打つようになったり、アウトサイドでガードと絡んでのプレーなども増えてきています。この辺の多彩さはさらに成長する可能性は十分にあります。
ドンチッチとの相性という面でもインサイドのフィニッシュ力と機動力があり、パスもそれなりに出せるケスラーは良さそうに見えます。ディフェンス面でも広い範囲を守れるケスラーであればカバーリングでチームを助けることができます。
問題はその金額と対価。ドンチッチはいいとして、これでリーブスに40M超え、ケスラーに30M超えこの3人で100Mを超えてきます。ケスラーが健康で、レイカーズの予想通りもしくはそれ以上の活躍をしてくれればいいと言えばいいのですが、ケスラーが思った以上に合わなかった、良くなった場合にドンチッチが出ていく可能性まで出てきます。まぁそのためにリーブスに高い契約を渡したのでしょうがね。
このトリオの良し悪しは別として、レイカーズがオールインとはいかないまでも、かなりの対価を出したのは気になります。確かにドンチッチを手に入れられたことがラッキーなので、ここで1勝負かける気持ちは分かりますが、ケスラーがどこまでやれるかは未知数。とりあえず1年間健康で試合に出られるかどうか。ドンチッチも怪我が多いので、まずはここ。レイカーズのが1番手腕を問われるかもしれません。
そしてもう1つ。
ヤニスの騒動以降ずっと放出の噂のあったジェイレン・ブラウンですが、なんとポール・ジョージとのトレードに。報道では4つの1巡目指名権を要求しているなんて話もありましたが、結局1巡目指名権1枚に1巡目スワップが1枚、2巡目指名権が2枚と、かなり安売りした形になりました。
セルティックス獲得
ポール・ジョージ
31年1巡目指名権(シクサーズ)
28年の1巡目スワップ権
28年,30年2巡目指名権
シクサーズ獲得
ジェイレン・ブラウン
セルティックスはトレードの収支だけで言えば完全に負けと言っても過言ではないでしょう。昨シーズンテイタム抜きのチームを牽引し、エースとして成長しながらイースト2位までチームを押し上げたブラウンを36歳のポール・ジョージと少しの指名権で放出してしまうのは驚きでした。
プレー的にはブラウンとポール・ジョージには似ているところがあり、基本的にディフェンス力が高く、オフェンスでは1対1ファイター的なところがあり、ミドルレンジを使うことが多いので、2ndエース的な役割が適正に見える2人なので、両チームともそこまで戦術的な変更は必要ないでしょう。
ただ元々エースだったポール・ジョージに対して、昨シーズンテイタムの不在によってエースをやり始めたブラウンということで、まぁセルティックスとしてはテイタムが戻ってくるのでより脇役的なポール・ジョージでもよかったという事情はあります。
さらにセルティックスがこのトレードに踏み切った理由として、ブラウンのサラリーがかなり高額であることが挙げられます。
サラリー
ブラウン 57M / 61M / 65M (28-29まで)
ポール・ジョージ 58M / 57M PO (27-28まで)
あと3年残っているブラウンに対してポール・ジョージは残り2年で最終年がPO。おそらく行使すると思うのですが、スティーブンスが上手くやって、単年の金額を下げつつ契約延長になるかもしれません。というか、それくらいしかこのオファーを受けた理由が見当たりません。実際にオファーがあったかはわかりませんが、ペリカンズのマーフィーやブレイザーズ、ロケッツなんかが噂に挙がっていましたが、マーフィーは安いものの契約が長く、他のチームは指名権中心のパッケージだったと予想されるので、おそらくセルティックスとしてはポール・ジョージが1番戦力を落とさずにサラリー的にも柔軟性を持たせることが出来ると判断したのでしょう。
しかしながらプレーオフで対戦し、負けたチームを強化するようなトレードを行ったセルティックス。スティーブンスの頭の中はわかりませんが、ホリデー、ポルジンギスと難しそうなトレードをうまくまとめて、処理していったスティーブンスがちょっと不思議なトレードに踏み切ったのにはなにかスティーブンスにしかわからないモノがあったのでしょう。
これでテイタムのエースとしての働きがより重要になってきます。むしろ昨シーズン、ブラウンエース体制で戦えたことで放出になったのかもしれません。
かなりの戦力強化に成功したシクサーズ。ポール・ジョージがブラウンに変わることは戦力的にはプラスでしかないのですが、一方でプレーするゾーンがエンビードやマキシーと被ってしまう問題もあります。
その前にサラリー的にもエンビード、マキシー、ブラウンの3人とも28-29まで契約があり、それぞれエンビードとブラウンは60M超え、マキシーも40M超えなので、かなり重い契約を抱えることになります。
エッジコムのルーキー契約がちょうど同じタイミングで終わるので、この4人で3年間優勝を目指すことになります。
ここでブラウンとポール・ジョージのスタッツを比べてみましょう。
25-26 ブラウン ()内はポール・ジョージ
71試合(37試合) 28.7点(17.3点) 6.9リバウンド(5.3リバウンド)
5.1アシスト(3.6アシスト) 1.0スティール(1.7スティール)
FG 47.7%(43.9%) 3P 34.7%(39.2%) TS 57.3%(57.0%)
はい、ブラウンの圧勝ですね。3P%とスティール数はポール・ジョージのが上ですが、ブラウンのがオフェンスで大きな役割を担っていたし、タフなシュートも多いので、この数字は許容範囲。むしろ良く決めている方。
ということで大きな戦力アップになったシクサーズですが、フロアバランスや1stオプションをどうするのかは悩みどころ。エンビードがどれだけ出てくるかわからないので、エンビードは1stにしづらく、マキシーかブラウンになるのですが、ポストアップもよく使うブラウンはエンビードが居るとプレーエリアがかぶってしまいます、エンビードをアウトサイドに置いておけばいいのですが、そうするとエンビードの運動量の問題でオフェンスリバウンド系が弱くなってしまいます。
ブラウン、エンビード、マキシーと全員コートの中心を使うタイプで、昨シーズン、ポール・ジョージでセルティクスを倒せたのはポール・ジョージが結構脇役的に動いてくれたからです。ブラウンにそれをやらせるのはもったいないので、そのままポールジョージの仕事をやらせるわけにはいかないのが難しい。
シクサーズに関してはここのバランスをどうするかが全てと言っても過言ではありません。単純に選手をアップグレードしたからと言ってチームとして強くなるわけではないのがNBA。選手の組み合わせや戦術面でどこまでこの巨大戦力を整理できるか。
確実に戦力強化にはなったので、あとはニック・ナースの腕の見せ所。ブラウンが1stオプションになりたい的な話もあったので、その辺も上手く対処できるか。
ということで優勝に向けて一気に戦力アップに成功したシクサーズ。レブロンが来るかもなんていう話もあるので、一気に優勝候補筆頭になる可能性もあります。逆にセルティックスは戦力的にはダウン。それでも何故か上手くいくのがセルティックスでもあります。昨シーズンなんかクエタとガルザで東2位だしね。どんな戦いをするのか楽しみではあります。